ホンダの最新コンパクトクロスオーバーSUVがWR-Vだ。復活したオデッセイが中国生産なら、こちらはタイで開発、インドで生産され、日本へと輸入される、アジアがメインマーケットのモデルとなる。
驚くべきはその価格!?
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ホンダSUVのヴェゼルと比べ、よりクロスカントリーテイストを強めたエクステリアは全長4325×全幅1790×全高1650mm。ホイールベース2650mm。ヴェゼルが全長4340×全幅1790×全高1590mm、ホイールベース2610mmだから、全長、全幅はほぼ同じ。全高がSUVらしく60mm高く、ホイールベースに至ってはクラス最長のヴェゼル比+40mmとなる。イカツいデザインだけに、実際にはコンパクトなサイズながら、スマートで低全高のヴェゼルより立派に見えるのも本当だ。
パワーユニットはヴェゼルがHVとガソリン車を揃えているのに対して、WR-VはL150D型1.5L直4DOHC(i-VTEC)のガソリンエンジン、118ps、14.5kg-m+CVTのみの設定で、駆動方式もFFだけとなる。ただし、最低地上高は本格SUV並みの195mmが確保され、ちょっとした悪路はお手のモノ。日本のアウトドアフィールドはアクセス路も構内路も整備されているから、アウトドア派にも文句なしに使えることになる。なお、純ガソリンエンジンのWLTCモード燃費は16.4~16.2km/Lだ(グレードによる)。
WR-Vで驚くべきはその価格。グレードはスタンダードタイプのX、充実装備のX、そしてシャープシルバーのルーフレールやドアロアガーニッシュなどによる専用エクステリアを持つZ+の3タイプだが、Xはなんと209.88万円という、軽自動車のターボモデルに匹敵するリーズナブルさなのである。今回、試乗したZグレードでも234.96万円だ。
クラス最大のホイールベースによるパッケージングも見事だ。身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で、前席頭上に210mmの余裕があり、なおかつちょっと硬めの張りを持つたっぷりサイズの前席を最下端位置にセットしても、ボンネット左右の膨らみが見え、インパネを見下げるようなアップライトなドライビングポジションが取れるのだから、小柄な人でも運転のしやすさを乗ってすぐに実感できるに違いない。
そして後席頭上に160mm、膝周りに240mm!!もの、大人がゆったりと寛げる空間が確保されているのだから、パッケージングはなかなかのものと言っていい。また、後席の乗降性、着座感も文句なし。具体的には、シートサイズが座面長500mm、シート幅1240mm、シートバック高640mmと、全席同様にたっぷりとしたサイズが与えられ、フロアからシート座面先端までの高さ=ヒール段差が370mmもあるため、アップライトな着座姿勢がとれ。太腿裏が座面に密着する快適な着座姿勢をとることができるのだ。結果、乗降時の座りやすさ、立ち上がりやすさをもたらしてくれるというわけだ。また、コンパクトSUVにして後席エアコン吹き出し口が備わっているのもポイント。暑い時期、寒い時期の後席の快適性を高めてくれるのだ。
後席の圧巻の広さとともに注目したいのが、ラゲッジルームの広さ。TVCMのように、スーパーマーケットで爆買いしてもOKな容量はフロア上だけで458L(後席使用時)もあり、ホンダによれば、6:4分割の後席を倒すことで27インチの自転車、約170cmのサーフボード、4個のスーツケース(大きさによる)も飲み込むというのだから、アウトドア、スポーツを始めとするあらゆるシーンで大活躍してくれること必至である。
ただ、後席格納時に約130mmの段差ができてしまうのが惜しいところではある・・・。
なお、ラゲッジルームの開口部地上高はSUVの平均値と言える約730mm。フロアとの段差約130mm(本音を言えば、段差はないほうが使いやすいのだが)、フロア奥行840mm、フロア幅1015~1340mm(ここもクラス最大)、最低天井高870mmという驚くべき広さ、大容量を誇っている。なお、発泡スチロール製の床下収納にはパンク修理キットなどが入っているが、ガラスクリーナーやタオルなどを収納できるちょっとしたスペースも用意されている。
ちなみに、本格SUVは、雨の日、雪道、雲泥路などを走った際、サイドシルに汚れを巻き上げないように、ドア下部がサイドシルを完全に覆う形状になっているのだが、WR-Vはそこまで徹底はしていない・・・。
高速走行、カーブ、山道などでの安定感・安心感はハイレベル
運転席に着座し、スタートボタンを押してエンジンを始動すれば、ホンダのエコモードであるECON不採用の1.5Lユニットはアイドリング中に”もやもやした音”、振動が伝わってくる。走り出せば、エンジンの回転フィールにこれまでのホンダ4気筒と比べてザラつき感があるところが気になった。加速性能は、1.5LのFF SUVとしてごくフツーという印象だ。つまり、加速力はアクセルの踏み加減を問わず穏やかで、エンジンが2000rpmを超えてから耳に届くエンジンノイズを含め、車内の静粛性についても特筆すべき点はない。もっとも、高速巡行時に耳に届くのはロードノイズが主体で、エンジンは至って静かである。
一方、褒めるべきは操縦性だ。パワーステアリングはセンターのガッチリとした座りがよく、切り込んだ際も重めのフィールを示し、乗り心地も基本的にドシリと硬めでフラット。段差を乗り越えた時のショックこそ目立つものの、ステアリングの路面からのインフォメーションが確かで、想定外にキビキビと走り、向きを変え、硬めの足回りによって前後左右の姿勢変化は、好印象の制動力を発揮してくれるブレーキング時、カーブを含め最小限。つまり、全高1650mm、最低地上高195mm、アップライトな着座姿勢にして、運転感覚としての腰高感は皆無に近く、高速走行、カーブ、山道などでの安定感・安心感はけっこうハイレベルなのである。
ただし、今ではN BOXなどの軽自動車でも当たり前に装備される電子パーキングブレーキは不採用(オートブレーキホールド機能も)。そのため、全グレードに標準装備されるホンダセンシング=先進運転支援機能に含まれる、高速走行のロングドライブでのドライバーの運転に関わるストレスを軽減してくれるACC(アダプティブクルーズコントロール)は約30km/h以上でしか設定できず(設定後のキャンセルは26~30km/hだった)、つまり渋滞追従機能は持っていない(ブラインドスポットモニターも)。このあたりはインドでの需要の有無、そしてリーズナブルな価格設定を実現するために割り切られた部分だろうか。
とはいえ、最小回転半径5.2m、最低地上高195mmの扱いやすさ抜群、走破性もそこそこ期待できるコンパクトSUVで約210万円スタートの車両本体価格は大注目に値し、後席、ラゲッジルームのゆとりに至ってはクラス最大級。フルオートエアコン、左サイドアンダーミラー、SOSコール&トラブルサポートボタンまで用意されるのだから、細かい文句は言えまい。
そんなWR-Vは、街中の狭い道や駐車も楽々なアーバンクロスオーバーモデルとしてはもちろん、アウトドア派、スポーツ好き、愛犬家にもうってつけの、リーズナブルな価格で手に入る、ヒット間違いなしのホンダの新型車と言っていい。何しろ、2024年3月22日の発売後、約1カ月で受注は月間販売計画台数3000台の4倍以上となる約13000台に達しているというのだから・・・。
この@DIMEでは、近々、ホンダアクセスの純正アクセサリーをフル装着したWR-Vに筆者の愛犬、ジャックラッセルのララを乗せ、1泊2日のグランピングを楽しみ、帰路、大型ショッピングモールで買い物三昧!?してくる企画を公開予定。大人2人+愛犬のグランピング用の荷物はもちろん、ショッピングモールで活躍する(店内に愛犬と入れる)ドッグカートなどもガンガン積みこんでいくつもりである。
ホンダWR-V
文・写真/青山尚暉
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